みんなのウェディング

4年で売上15億を達成したビジネスモデル

結婚式場選びといえば、「ゼクシィ」を思い浮かべる方は多いのではないだろうか。ゼクシィは2016年3月期で536億円の売上を誇り、式場選びの市場のトップシェアを占めている。そんな同媒体が掌握している市場に、独自のポジションを築いたサービスがある。

それが、「みんなのウェディング」というサービスだ。2010年10月に創業したこのサービスは、わずか4年で15億円を超える売上を達成し、マザーズへの上場を果たしている。なぜ、これほどの成長を遂げることができたのだろうか。本記事では、「ビジネスモデル」「どのような顧客ニーズを満たしているのか?」「どうやって儲けているのか?」という章立てで、みんなのウェディングのビジネスモデルを紐解き、成長するサービスに必要なことは何かを明らかにしていく。

key points

  • 口コミと共に費用明細をコンテンツとして提供することで、比較検討の場を提供
  • 比較検討の場を提供して優良な顧客の獲得に成功したことが儲かっている理由
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • follow us in feedly

みんなのウェディング

ビジネスモデル


http://www.mwed.co.jp/service

プラットフォームモデル」が、みんなのウェディングのビジネスモデルです。

プラットフォームモデルは、ユーザーが集まる場を提供し、商品やサービスの提供者とその利用者をマッチングすることで、その場の利用料を得るビジネスモデルのことを言う。みんなのウェディングの場合、結婚式を上げたいカップル結婚式場を口コミ情報をベースにマッチングしており、結婚式場から掲載費用をもらって収益化している。

また、サイトの形態としてCGM(Consumer Generated Media)をとっていることも大きな特徴だ。CGMは日本語で直訳すると「消費者生成メディア」という意味だが、ユーザーの力を借りてコンテンツ作成を行っているウェブサイトのことを言う。みんなのウェディングでは、ユーザーから投稿してもらった口コミを主なコンテンツとし、サイトを作りあげている。

そして、みんなのウェディングではユーザーから投稿してもらうコンテンツの1つが大きな要因となって集客が成功している。それがどんなコンテンツなのかを、次章で見ていく。

どのような顧客ニーズを満たしているのか?

みんなのウェディングは、結婚式場を決める際の比較検討の場を提供している。

冒頭で紹介したゼクシィは会場の雰囲気や概算の費用感などは掴みやすいが、実際に式場を決定するためには内容や料金などをより深く「比較検討」する必要がある。

その比較検討を、今までは明るみにでなかった結婚式場の費用を含めた口コミによって、より納得感を持って決めることができる情報を提供したことがサイトの価値だと言える。

当方が式場選びをした際にも感じたことだが、各式場から説明を聞いて見積をもらってみると「なにに、どれだけ費用がかかり、それが妥当なのか」がブラックボックス化していてわかりにくくなっていた。披露宴で司会をつける際の費用や、撮影費用が各式場によって全く異なっており、比較検討がしにくくなっている。

そうした、業界人にしかわからないようになっている消費者との「情報格差」に目をつけて、みんなのウェディングが提供した2大コンテンツが「口コミ」と「費用明細」だ。

特に費用明細が特徴的で、式場選びを行った人がその際にもらった「費用明細」を口コミ情報の一部として掲載することができえう。この情報があることで、各式場ごとの費用合計だけでなく、細かな費用項目のそれぞれで比較検討を行って、納得感をもって式場を選ぶことができるようになった。


https://www.mwed.jp/mwed/app/

この口コミと費用明細がみんなのウェディングにとって、事業を推進するために重要なコンテンツであることが、投稿に対して支払われるポイントの金額にも現れている。

「口コミ」「費用明細」という2大コンテンツの提供により、「納得感のある比較検討の場」を提供することに成功したみんなのウェディングは、月間利用者数を大きく拡大していく。

どうやって儲けているのか?


http://www.mwed.co.jp/ir/news.html

みんなのウェディングの収益源は大きくは2つがあります。

1つは「有料掲載費用」だ。これは、結婚式場が専用電話番号や口コミ返信機能などの集客に役立つ機能を使いたい場合に支払う費用のことを指す。もう1つは「広告」で、式場の検索を行った際に広告を購入した式場を上位に表示させる等といったもの。これらの収益源のいずれもが結婚式場から発生するものだ。

決算資料では、上記の2つを合わせたものを「式場掲載・広告」という項目としていて、この項目が売上のほとんどを占めている。現在の有料掲載式場のみが広告掲載していると仮定するなら、2016年の売上が17億で有料掲載店舗が1200会場あるので1つの式場で年間約150万円ほどの掲載費用・広告費を払っていることになる。

なぜ結婚式場はこれだけのお金を払うのだろうか。それこそが儲かる理由なのだが、口コミや実際の費用感を元に比較検討を行った、自社の式場で決めてもらえる可能性が高い顧客を集客するために広告宣伝費を払っているからだと言える。つまり、各式場にとっての優良顧客を獲得できたことが儲かっている理由だということだ。

今後はこの優良顧客を、電話やチャットでサポートし、式場に送客することで収益化を加速させていくことが決算資料内で述べられている。


http://www.mwed.co.jp/ir/news.html

まとめ

ウェディング業界の情報格差に目を付けて、口コミ情報と共に費用明細をコンテンツとして提供したことでユーザーの支持を獲得した。そうした結婚式を検討している良質なユーザーの支持を得たことが儲かっている理由だということを明らかにした。

決算資料等の説明では、結婚式申込(成約)の件数に対して課金を行っていくことが述べられている。アプリ開発やオンラインデスクでの相談によって成約件数を伸ばしていくために、これからは施策を打っていくことが予想される。

業界大手のゼクシィと比べると、まだまだ成長の余地を残しているみんなのウェディングが今後もどのように成長していくか。今後も注目したい。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • follow us in feedly