Retty創業者 武田和也
累計25億円の資金調達を行い、急激に拡大するRettyの創業ストーリー
最近、食べログに”ガチ”の勝負しかけたと話題になっているRetty。月間のユーザー数を急激にのばし、現在では2200万人まで拡大し、資金調達の累計金額は25億円に達する。そんなRettyの創業ストーリーを「創業の経緯」「サービスの拡大」という点から紐解いていく。
創業の経緯
- 2010年11月創業 2名でPHPによる開発を開始
- 2011年1月開発をスタート
勉強会で知り合ったエンジニアがプログラミングを教えてくれる - 2011年2月エンジニアを1名採用
- 2011年3月エンジニアを1名採用
- 2011年4月デザイナーを1名採用
- 2011年6月Retty Web版をリリース
- 2011年8月社名を株式会社TopNotchからRetty株式会社に変更
- 2011年8月CAV社、個人投資家から2200万円の増資
- 2011年11月iPhoneアプリをリリース
- 2011年12月iPhoneアプリが25,000DLを達成。Androidアプリをリリース。
アメリカでアイデアをひねり出す
代表の武田和也氏は勤めていた会社を退職した後、単身で渡米してRettyの原型となるアイデアを考え出している。
起業を目指して退職するのだが、そこから1年間、アメリカに渡り、ひたすらビジネス・アイデアを模索した。生活は貯蓄を切り崩しながら。1週間に2つのアイデアを出すことを自分に課していたという。自分を追い込みながら考え続けた結果、Rettyにつながるアイデアが生まれ、帰国、起業した。
そして、帰国後に長束鉄也氏を誘い2人で事業をスタート。最初の資本金は400万で創業しており、武田氏は親に借りたようで、下記の記事からすると武田氏300万、長束氏100万を出し合って創業したのだろう。
武田氏は自己資金300万円でスタート。この資金は親に借りたものだったという。
調べていく中で「株式会社TopNotch」という会社を見つけた。当時のfacebookへの投稿では、2011年8月に社名をRetty株式会社に変更しているようだ。なぜ「訳:一流の、最高の」という意味合いの名前をつけたかは定かではないが、おそらく何かの業界のトップを目指したいと思ってつけたのだろうと思う。
2人でプログラミング本にかじりつく日々
創業当初は文系出身の2人が0からプログラミングを勉強してコードを書いていたようだが、やはり初心者が0から作るには難しかったようで開発は難航したようだ。
そんな時に、武田氏が勉強会で出会ったプログラマーが週末にプログラミングを教えてくれるようになり、開発が進んでいく。そして、2011年1月から本格的に開発を始めて2011年6月にはサービスをリリース。
早い段階で出会いが多い
創業して1年経たずに、サイバーエージェント・ベンチャーズ社、個人投資家から2200万円の出資を受けていることには驚く。その繋がりは、ツイッター経由で連絡が来たらしく、スタートアップをする上でツイッターが重要だと気付かされる。
会社を立ち上げた後、サービスをリリースするまではピッチコンテストなどにも出場せず、ステルス状態を保っていた。その際に、サイバーエージェント・ベンチャーズのキャピタリストから連絡を受けたことからVCに会うようになっていったという。このときの問い合わせにつながったきっかけもTwitterだと言うのだから驚きだ。平野氏の「資金を調達したい人はTwitterをやったほうがいい」というコメントにも頷ける。
サービスの拡大
初期からしっかり販促
Web版の立ち上げ後から間も無く、結構な回数のキャンペーンを仕掛けている。しかも、それらのキャンペーンはしっかりとRettyならではの機能を経験してもらうもので、且つユーザーの獲得につながる内容ばかり。キャンペーンを開始した時期は、出資は受けていないことを考えると「ガンガンいこう」のスタンスが伺える。
2011年6月〜
- 第1回目「行きたい」を押された数を競わせるキャンペーンを実施。賞金総額4万円。
- 第2回目各エリアごとにランチの情報を投稿させ、「行きたい」数を競わせる。賞金総額4万円。
- 第3回目期間中のフォロー獲得件数を競おう! 賞金総額4万円
2011年11月〜
- 第4回目「10日間限定連れってキャンペーン」 賞金総額30万円
連れってボタンを期間限定で設置、最多「連れって」獲得者に賞金を渡す。
連れて行く人・お店は賞金獲得者の自由裁量。
2012年1月〜
- 第5回目「あなたの投票でRetty48が決まる!お勧めの人に投票しよう!」
おすすめのRettyにユーザーに投票し、投票数の多い上位8名はRetty Nightに招待。 - 第6回目「Rettyまとめ王選手権」 賞金総額30万円
作成したまとめに対する「行きたい」数を競わせる。
パトロンが生み出したバズ
Wantedlyのケースを見ていても感じるのは、「バズ」がサービスをスケールする基点になっているということだ。Wantedlyでは、当時では珍しかったfacebookログイン時のウォールへの投稿とTech Crunchに取り上げられたことが重なり、急激にユーザー数を増やしている。
夏も終わりに近づく頃、ひょんなきっかけでTech Crunchの西田さんにイベントに呼んでいただきました。イベントの新規プロジェクト発表の場で、飛び込みでウォンテッドのプレゼンをさせていただきました。その後、元金融出身でコーディングができなかった女子が1人でプロダクトを作ったという事実が面白いと、西田さんから取材のお願いの連絡を頂きました。私はサービスのバグ直しに奔走し、9月の頭、とうとう記事が掲載されました。
反響は物凄いものでした。実はウォンテッド自体、Tech Crunchに掲載される数日前からバズを生んでいました。
それはおそらく、まだ少なかった「Facebookログイン」サービスの先駆けで、かつ登録時にウォールに流れたフィードが上手いこと人の目に触れたからだと思います。1日1000人以上の数でユーザが増えていきました。さらにTech Crunchの記事でトラフィックは盛り上がり、リリース2週間で会員は1万人を超えました。
Rettyが「バズる」際には、強力なパトロンがいた。どのような経緯かはわからないが、2011年5月にイケダハヤト氏と武田氏は会っていたらしく、その時からイケダ氏はサービスの良さを感じてヘビーユースしていたらしい。そして、イケダ氏のブログ「まだ東京で消耗してるの?」でサービスが紹介され、ブログからの流入で2000人ぐらいユーザー登録があったというからアルファブロガーの影響力は凄まじい。
イケダ氏以外にも、歌手の広瀬香美がヘビーユーザーとして使ってくれたり、広瀬氏のつながりから勝間氏が使ったりと有名人がサービスを利用し、ユーザー数の向上に大きく貢献した。(2012年3月頃)
広瀬さんが使い始めた翌日には、WebサイトのUU数は2倍くらいになったそうです。また、投稿数も、登録数も1.2倍くらいに伸びたとのことで、高い効果が見受けられます。
それ以外にも、ホリエモンのメルマガにて紹介されたり、Apple Storeで4週間おすすめのアプリとして紹介されたりと幸運が重なっている。
サイトリニュアールとSEOでMAU爆発
2013年6月までは、堅調にユーザーを獲得していたが、2013年6月から2013年8月にかけて、高い増加率を示している。(2013年4月から2013年6月:122% 、2013年6月から2013年8月:163%)その効果は、サイトリニューアルをしてSEOをかけたことによる効果が大きいと下記の記事でコメントしている。
Rettyのファンを一定数獲得することに成功し「15万店舗ぐらいの口コミ情報が50万件ぐらい登録されている状態」になった段階でSEOをかけたところ、グーグルにも評価されて今回の流入増に繋がった
「SEOは1年ぐらい前からしっかりやると振ったんですね。それで開発準備して昨年5月にリニューアルしました。反映されるまでに3カ月ぐらいはかかりましたけど、8月になると効果が出てきて。検索流入は爆発的に増えました」(武田氏)。
事業の拡大
2013年までには累計3回、総額4.5億円の資金調達を行っており、事業の拡大を推し進めている。2011年4月では5名だった従業員規模が2014年には約40名まで拡大していることから、人材の採用が主な資金調達の理由の1つだろう。それ以降でも資金調達を行っており、累計では25億円に達する。
資金調達
- 2010年11月資本金400万円で創業
- 2011年8月サイバーエージェント・ベンチャーズ社、個人投資家から2200万円の増資
- 2012年10月グリーベンチャーズ、NTTインベストメントパートナーズ、三菱UFJキャピタル3社より総額1億円の調達
- 2013年12月伊藤忠テクノロジーベンチャーズ、みずほキャピタル、および既存投資家を割当先とした総額約3.3億円の第三者割当増資を実施
- 2015年3月Fidelity Growth Partner Japan、グリーベンチャーズ、及びみずほキャピタルより、10億円の資金調達
- 2016年7月WiL、ABCドリームベンチャーズ、EIGHT ROADS VENTURES JAPANを引受先とした約11億円の第三者割当増資を実施
ユーザー数の拡大を図りながらもマネタイズを進めており、2015年11にスタートした企業のブランディング広告は1年満たずに約2億の売上を上げているというからRettyの稼ぐ力は測りしれない。2016年5月時点でRettyのMAUは2200万人だが、これからも拡大のために投資を続けていくことだろう。
まとめ
「2020 1億人構想」を発表していることから、今後も規模の拡大を目指していくのだろう。創業した時に、武田氏が想像していた企業は、企業名「株式会社TopNotch」からも読み取れるように国内一、または世界一をとることなのだろうと思う。日本発のグローバルWebサービスが生まれるかどうか今後の動向も気になるところ。