Wantedly創業者 仲暁子

人生を駆け抜ける女性起業家の創業ストーリー

ゴールドマンサックス、Facebookを早々と退職してwantedlyを立ち上げた仲暁子氏。そんな彼女が駆け抜けてきた人生とwantedlyの創業ストーリーを「駆け抜ける人生」「ウォンテッドリー誕生の経緯」を起点に追う。

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駆け抜ける人生

2007年の4月。就職活動を終えたばかりの仲暁子氏は安心するどころか、自分の人生に対して不安を頂いていた。

そんな彼女は同じ月の投稿で、「目の前のことを真剣にこなしていけば、長期的ビジョンなんてそこまで重要ではない。道は開ける。」とコメントしている。揺れ動く心の葛藤の中で、恐らく彼女自身の人生の羅針盤を探っていたのだろう。

そして、1年半ゴールドマンサックスに勤めて退職する。ブログの中では辞めたことについての投稿はなかったが、辞める直前の記事には、23歳の1年間を無駄にしたことへの後悔の念が綴られていた。

北海道でマンガ家を目指す

辞めた直後には母親の単身赴任先であった北海道の家に転がりこんで、昔からの夢だった漫画家になるために朝から晩まで漫画を描いている。保育園の卒業アルバムにも将来の夢は「マンガ家」と書いていたようで、大学4年生の頃は本気でマンガ家になろうとしていたようだ。15から20くらいの作品を描き、描いたものは「週刊モーニング」や「週刊少年ジャンプ」に持ち込んでいたようだが、一向に結果がでなかったという。

そこで、サイトを作って、サイトを通してマンガ家を助けられないかと考え始める。マンガ家になることからマンガ家をサポートすることに、目標を変えたのも仲暁子氏のテーマが「好きなことで食う」だったからだとコメントしている。

「Magajin(マガジン)」の立ち上げ

マンガ家を支援するサービス「Magajin」の立ち上げは、会社員時代に貯めていたお金を使い、「イーランス」というクラウドソーシングサービスを通じてイスラエルに住む3名のチームに依頼して進めている。

同サービスのユーザー数は5000人ぐらいに達していたものの、マネタイズがうまくいかなったという。サービスを成功へと導くために、同氏はマーケティングの必要性を感じてIVSに参加。本来であれば、新規サービスを発表するために参加しようとしていたのだが、リリースが間に合わなかったために通訳ボランティアとして参加している。ここで、当時はまだまだ小さな規模だったFacebookの代表に出会ったというから、同氏がもっている運の強さには驚く。Magajinはfacebookの仕事と両立するのが困難で、サービスを閉じてしまったという。

ウォンテッドリー誕生の経緯

仲暁子氏はWantedlyに行き着くまでに、ピボット(事業転換)を含めた3つのサービスを立ち上げている中で同サービスのコンセプトを生み出している。その経緯を「リアQからウォンテッドへ」「気管支炎が生んだ2週間」「Tech Crunchが生んだバズ」という出来事から紐解く。

事業転換を繰り返す

Facebookでの体験から、ソーシャルの力に魅力を感じた仲暁子氏は信頼できる人になんでも質問できるサービス「リアQ」を自分がデザインを担当し、友人に開発を依頼して作りあげていく。

また、リアQの立ち上げと同時並行して、Sukiyakeyという日本のモノの世界展開を応援するサービスも立ち上げている。ドメインを検索してみると、サイト自体は無くなっており、閉鎖したのだろうと思う。

リアQのα版を公開して友人から意見を求めると、質問できる幅が広すぎること、また人、モノ、店のいずれかに絞った方がいいことを指摘される。その友人の意見を受けて、人にフォーカスした内容のサービスに作り変えていく。そして、今のwantedlyの原型となる仲間を募集することができる「ウォンテッド」のコンセプトに辿りつく。

しかし、大きくサービスの方向性を変えようと思っても平日も働いている友人に開発を依頼していたため、なかなかプロダクトに落とせないという壁にぶつかる。

気管支炎が生んだ2週間

そんな時に気管支炎にかかって体は元気だが声が出ないようになり、2週間ほど人に会えない時間が急にできてしまう。そして、ふと本屋で出会った「Ruby on Rails 3 アプリケーションプログラミング」を購入し、少しづつプロダクトを作ってみると、意外にもできたという。

それからもサービスの開発を続け、2011年9月 「ウォンテッド」をプリローンチ。この期間がなかったら、「今のウォンテッドはなかった」と仲氏はブログでコメントしている。

Tech Crunchが生んだバズ

プレローンチのための開発を進める中で、Tech Crunchの担当者と接点ができて仲暁子氏が取材を受けることになる。その記事もサービスリリースとほぼ同じタイミングの2011年9月5日に掲載される。この記事が生んだバズがすごく、1日1000人以上のユーザーが登録し、2週間後には1万人を超えたという。

しかし、サービスは仲氏が想定していなかったような使われ方をされることになる。また、急激なアクセスに耐えられるようなシステムではなかったようで、一旦10月初旬にサービスを凍結して、12月に大規模なサービス展開にも耐えられるシステムに改善したクローズドベータ版をリリース。

その後は、クローズド・ベータ版からwantedlyのサービスに興味を持っていたクックパッドをはじめとした3社と協議を進めながら機能をそぎ落とし、2012年1月に正式版をリリースする。

以後も躍進を続けるwantedlyは、導入企業数は2万社、会員数では55万人を超えて(2017年1月時点)、2017年9月14日にはマザーズへの上場を予定している。

まとめ

類まれなる行動力で、物事を実行してきた仲暁子氏だが、最初から成功を手にしている訳ではない。wantedlyの事業コンセプトに行き着くまでにも複数回ピボットを繰り返し、またその都度周囲にいる人の意見を貪欲に取り入れながら修正している。そんな彼女の姿を応援したいと集まった仲間や人が仲氏を後押ししているのではないだろうか。

彼女が学生時代作っていたフリーペーパーの編集後記からは、「人を巻き込む親分肌」で「未知の領域に踏み入れることへの好奇心溢れる」彼女の人柄が伺えるのでこれを掲載して、今回の記事を閉じさせていただく。

本来は出るはずのなかった夏号が突如として発行されることになったのは、編集部のほんの気まぐれからでした。試験期間中で死んでる京大生になんとか息抜きの場を与えられればという思いから、前回の新入生対象から大きく対象を広げ、全学年対象になりました。

今回の取材で一番面白かったのは学食特集です。いつもは行かない食堂は未知の世界でした。でも、どこも特色をもっているうえに、店長はみなイイ人たちばかりで、取材をしていて楽しかたったです。chotbetter夏号が発行される頃には試験期間に突入寸前というところでしょうか。みんな、頑張って試験を乗り越え、楽しい夏休みを過ごしましょう!
HUMEDIA代表 経済2回
仲暁子

参考

ソーシャルリクルーティングのウォンテッドを立ち上げたのはFacebook出身のマルチな才女
転びまくりながら、やっとここまできた
開始1カ月で130社が利用中!コネを視覚化した新しい人材獲得サービス「ウォンテッド」
No.13 仲暁子さん(ウォンテッド株式会社代表取締役)

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